和歌山サンゴ調査保全


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 和歌山サンゴ調査保全 
   サンゴ生息域は、「海中の熱帯雨林」とよばれるほど豊かな「生物の多様性」を持っており、海洋環境に重要な役割を果たしています。近年わが国におけるサンゴ群集は、白化現象、サンゴを食するオニヒトデや巻貝の大量発生、人の諸活動による水質・底質の悪化など様々な危機にさらされています。和歌山県沿岸に生息するサンゴ群集も例外ではありません。
 当NPOでは、和歌山県田辺沖の沖島とその周辺のサンゴ群集や和歌山県白浜町沿岸域及び四双島や円月島、権現崎南西のサンゴ群集(しららサンゴ群集)に注目してきました。

 これら海域には、サンゴが高い密度で広範囲に生息し、地元漁師さんや一部のダイバーにしか知られていません。また、未調査のサンゴ群も数多く存在する海域です。

 この地域のサンゴ群集を、@調査し科学的なデータを蓄積する。Aモニタリングによりその変化を捉え保全に繋げる。 B教育の場として体験学習や実習を通しサンゴの大切さや環境保全などの理解を求めていく。 事業として活動しています。


 
被害状況調査結果(要約)
平成28年度マリンワーカー事業(吉野熊野国立公園田辺及び白浜沿岸海域
オニヒトデ等調査駆除業務)を実施したので報告致します。


 表1−4 被害状況調査結果表

調査

海域

調査

場所

調査

範囲

サンゴ被度

サンゴ育成型占有形状1

オニヒトデ実数
(発生状況)

オニ食害箇所数
(発生状況)

卓状上位5位平均

回復期/年齢







北西側の深いライン

(水深-7m)

15

2550未満

被覆・テーブル

0

7

(準大発生)

125cm中期/10-15

15

010未満

被覆・テーブル

0

3

(多い要注意)

125cm中期/10-15

北西側の浅いライン

(水深-3 m)

15

010未満

被覆

0

5

(準大発生)

27cm前期/5-10

15

010未満

0

1

40cm前期/5-10

南側の深い

ライン

(水深-7 m)

15

5075未満

テーブル・被覆

0

7

(準大発生)

125cm中期/10-15

15

1025未満

テーブル・被覆

0

8

(準大発生)

125cm中期/10-15

南側の浅い

ライン

(水深-3m)

15

2550未満

被覆

0

22

(大発生)

38cm前期/5-10

被覆・中期/10-15

15

1025未満

被覆

0

7

(準大発生)

25cm前期/5-10


被覆・中期/10-15

 





西側のライン


15

多い

2550未満

テーブル・被覆

2030cm未満/2(多い要注意)

48

(大発生)

116cm中期/10-15

15

2550未満

テーブル

0 ※調査外25cm30cm(多い要注意)

26

(大発生)


116cm中期/10-15

側のライン


15

5075未満

テーブル・被覆

30cm/2(多い要注意)

60

(大発生)

175cm中期/10-15

15

1025未満

テーブル・被覆

30cm/3個、2030cm未満/2(準大発生)

39

(大発生)


125cm中期/10-15


南西の深い

ライン

水深-7

15

5075未満

テーブル

9病気?

0

200cm後期/15年以上

15

1025未満

テーブル

4病気?

0

150cm中期/10-15

南西の浅い

ライン

水深-3

15

5075未満

テーブル

1病気?

0

140cm中期/10-15

15

5075未満

テーブル・被覆

0

0

166cm中期/10-15




元島西のライン(元島南端〜西島南)

15

010未満

テーブル

0

0

25cm・前期/5-10

15

025未満

テーブル

0

1

40cm・前期/5-10

元島南のライン(丸山入り江〜斎田埼)

15

010未満

特徴無し

0

0

40cm・前期/5-10

15

010未満

特徴無し

0

0

30cm・前期/5-10

15

010未満

特徴無し

0

0

20cm・前期/5-10

15

010未満

特徴無し

0

0

20cm・前期/5-10

西島

(潜水ライントラン)

59%

テーブル

4

(多い要注意)

10

(大発生)

200cm後期/15年以上

丸山入り江

(潜水ライントラン)

1025未満

枝状

エダミドリイシ

0

0

卓上極少






 
重要海域の監視および駆除結果(要約)


(2−5)白浜海域調査結果
(1)オニヒトデの生息数状況
 @四双島のオニヒトデ生息状況
 a)四双島オニヒトデ実数の生息状況
 四双島西側調査ライン調査範囲内のオニヒトデ実数(下表の調査範囲内生息数/haのオニ実数)は、2016年2月の20個体から、10月(本調査)の1個体に減少した。これは、6月〜7月に実施した駆除活動の成果と考える。 同様に、南西側で6個体が0個体となった。 
 又、調査範囲外のオニヒトデ実数においても調査範囲内同様の減少傾向にある。 
 しかし、オニヒトデの実数値が減少したとはいえ、発生状況を1ヘクタール当たりに換算すると最大値で125個/1haとなり「大発生」であることより、自然発生数(自然が許容する生息数)である1ヘクタール当たり15個/ha程度まで駆除を継続する必要がある。
 特に、四双島の水路周辺にオニヒトデは多く生息する。又、オニヒトデは20cm以上が多く、産卵による自家生産(この海域で産卵拡散し成長する)による増殖が懸念される。今後、産卵期の来年7月までに駆除を実施することは効果的である。
 b)四双島のオニヒトデ食痕跡の状況
 オニヒトデ食痕跡(箇所数+実数)は450/ha〜1333/haの大発生である。オニヒトデ一匹が数箇所の食痕跡を残すと見積ったとしても大発生であることに変わりはない。10cm程度の小型の食痕跡が多いのは、オニヒトデが小さく、サンゴが幾重にも重なるところや、サンゴの裏奥に隠れ見つからない。 又、ニホンミドリイシサンゴの突起(枝)部分が20cm四方にわたり削り取られたような痕(白化)もあることからアオブダイ(サンゴの枝などについた藻類を食べるため突起部分を齧り採る)による食痕跡と推測し、特に四双島南西に多く観られた。四双島は大型のアオブダイが多く生息していることが特徴である。 更に、オニヒトデによる食痕跡とよく似るシロレイシやヒメシロレイシガイダマシは数十個集まってサンゴを食していた痕などのオニヒトデ擬似食痕も多く観られた。

 A円月島のオニヒトデ生息状況
 a)円月島のオニヒトデ実数の生息状況
 円月島南調査ライン調査範囲内のオニヒトデ実数(下表の調査範囲内生息数/haのオニ実数)は5個体、1ヘクタール当たりに換算すると83個/haで大発生となる。 
 2016年6月8日の被害状況調査(水面からの目視によるオニヒトデ数とサンゴ被度他調査)は、この海域での初の本格調査であり、それ以前に調査やオニヒトデ駆除は一度も行われていない。 この初の調査結果ではオニヒトデは11個体確認されており、その後、2016年6月14日〜6月22日の間に3回のオニヒトデ駆除を実施し、合計44個駆除した。
 駆除の成果はあったが依然としてオニヒトデ生息数は多く、今後この海域での定期的な保全(駆除)は必須である。
 b)円月島のオニヒトデ食痕跡の状況 
 オニヒトデ食痕跡は初調査(2016年6月8日被害状況調査)では173箇所であったが、本調査では41箇所で1ヘクタール当たりに換算すると683箇所/haとなり大発生である。 調査範囲外においても150箇所/haとなり大発生であることに変わりはない。

 B権現崎のオニヒトデ生息状況
 権現崎南西調査ラインのオニヒトデ実数は調査範囲内及び範囲外のいずれも確認されない。 オニヒトデ食痕跡は10箇所であり1ヘクタール当たりに換算すると167/haとなる。オニヒトデ擬似食痕跡は深場に点在し、中には明らかにオニヒトデ食害と推測するものもあり、今後はサンゴ群集の外縁部に注視する必要がある。

 表2−5(1) 白浜海域 オニヒトデの生息数状況結果表

調査

海域

調査

年月

水深

-

判定結果

オニ実数に対し

調査範囲内生息数/ha

(箇所・個数)

調査範囲外生息数/ha

(箇所・個数)

食痕+オニ

オニ実数

食痕+オニ

オニ実数



白浜

四双島

西


H28

10




3




要警戒発生

大発生



683/ha

(41箇所)



17

(1個)


975

(39)


100

(4)

オニ実数は減少(駆除効果あり)

H28

2

大発生

733/ha

(44箇所)

333

(20個)

250

(10)

250

(10)

白浜

四双島

南西


H28

10



3



自然発生〜大発生


1333

(80)



(0)


450

(18)


125

(5)

・オニ実数は減少(駆除効果あり) ・食痕跡増化

H28

2

大発生

300

(18)

100

(6)

275

(11)

150

(6)

白浜

円月島


H28

11


4


要警戒発生

大発生

683/ha

(41)


83

(5)

150

(6)

25

(1)

白浜

権現崎

南西


H28

11


5



自然発生

167/ha

(10)


0

0

50

(2)

(0)


平均/ha

(合計)

H28

10

円月・権現含む


要警戒発生

大発生


717/ha

(172)


25/ha

(6)

406/ha

(65)

63/ha

(10)

H28

2

円月・権現含まず

大発生

517

(62)

117

(26)

263

(21)

200

(16)



(4)サンゴ群集の状況
 @四双島西側の生サンゴと死サンゴの合計値を最初の被度100%とすると、生サンゴ(14%)の8割強は、オニヒトデ食害により減少(死サンゴ化86%)したと推測する。
 同様に、四双島南西側の生サンゴ(65%)の3割強は、オニヒトデ食害により減少(死サンゴ化35%)したと推測する。
 2016年2月の調査と比較すると、四双島西側の生サンゴの全底質に対する被度割合は、2016年2月の16%から、10月(本調査)の4%に減少した。これは調査ラインが西側(サンゴは少ない方)にずれた為と考える。 又、南西側も同要因により41%から28%に減少した。 死サンゴも同じ要因により増化傾向にあるが、いずれにしろ、サンゴ増減は数年の期間でのモニタリングによる調査結果を待ち判断することが適切である。
 本調査海域の2010年NES調査によるサンゴ被度は42%であり、11年に38%、12年に30%と年々減少傾向にあり2016年5月には17%になり、2010年より6年間で6割減少した。サンゴ減少の主要因はオニヒトデによる食害と考えるのが妥当である。
 今後は残り少ないサンゴを減少させることなく現状を維持し、オニヒトデの自家生産(この海域で産卵拡散し成長する)を阻止すべく、継続的な保全対策(駆除)は必須である。 又、サンゴ成長の阻害要因はオニヒトデによるものと推測され、この阻害要因が無くなればサンゴも徐々に回復する環境にあると考える。 
 
 A円月島南の生サンゴの全底質に対する被度割合は36%であり、死サンゴの被度割合は14%である。 生サンゴと死サンゴの合計値を最初の被度100%とすると、生サンゴ(72%)の3割弱は、オニヒトデの食害により減少(死サンゴ化28%)したと推測する。
 オニヒトデ食害により荒廃した海域はあるが、健康なサンゴ群は残存する。 今後は四双島同様にオニヒトデ駆除の継続的な保全対策は必須である。 
 特に円月島は白浜のランドマークであり、陸上景観のみならず、カヤックやスノーケリング、ダイビング、磯遊び等マリンスポーツを安心し実施できるように水中環境の保全を強化すべきと考える。

 B権現崎の調査ラインはサンゴの少ない深場に設定した。サンゴ群集の周辺の多様性やオニヒトデ襲来時の早期察知(深場から出現)の為である。又、浅場に調査ラインを設定すると75%前後の高被度サンゴが主データとなってしまうことが推測される。 
 サンゴが少ないと推測した調査ラインでも、権現崎の生サンゴの全底質に対する被度割合は45%と高い被度である。 又、死サンゴの被度割合は2%よりサンゴの増減は横ばいであり、健康なサンゴ群集である。
 明らかにオニヒトデによる食痕跡は深場に多くは無いが点在するがオニヒトデは確認されない。今後はサンゴ群集の外縁部を注視し調査を実施する必要がある。
 権現崎は白良浜のすぐ沖であり、円月島同様に白浜のランドマークとして重要な観光地であることより、この海域は重要海域と位置付けサンゴ群集のモニタリングを継続し保全活動を強化すべきと考える。

 
表2−5(4) 白浜海域 サンゴ群集の状況結果表

調査

海域

調査

年月

水深

-

判定結果

<適宜表現>

サンゴ死骸(%)

上段:生・死割合

(下段:全体割合)

生サンゴ(%)

上段:生・死割合

(下段:全体割合)


白浜

四双島

西

H28

10



3

大幅減少

<8割減>

86%

(25%


14

(4)

サンゴ被度大幅減少は調査ラインが西側(サンゴ少ない)にずれた為

H28

2

大幅減少

<半減>

47%

(14%

53

(16)


白浜

四双島

南西

H28

10



3

大幅減少

<3割強減>

35

(15)


65

(28)

サンゴ被度大幅減少は調査ラインが西側(サンゴ少ない)にずれた為

H28

2

大幅減少

<1割強減>

13

(6)

87

(41)


白浜

円月島南



H28

11



3


大幅減少

<3割弱減>


28

(14)



72

(36)


白浜権現崎 南西



H28

11



5




横ばい


(2)



96

(45)



白浜

平均


H28

11


円月・権現含む


大幅減少

<4割弱減>


38

(14)




62

(28)


H28

2

円月・権現含まず

大幅減少

<3割減>

30

(10)

70

(29)




(2−6)沖島海域調査結果
(1)オニヒトデの生息数状況
 沖島のオニヒトデ生息実数(下表の調査範囲内生息数/haのオニ実数)は、北側で1個体確認され要警戒発生となったが、西側ではオニヒトデは確認されなかった。しかし、オニヒトデによる食痕跡は本年2月調査に比べ10倍近くに増加しており、今後、突然の大発生が危惧される。 特に調査ラインの深い方に純白の真新しい大きな食痕跡や、少し藻が生えだした薄黄色の大きな食痕跡など、明らかにオニヒトデによる食痕跡が点在する海域もあり注視すべきである。大発生の予兆であるサンゴ群集の外縁部の深場から浅場へとかけあがる海域、および、その周辺のサンゴ高被度の海域を調査すべきと考える。 地元ダイビング業者のヒヤリングでは、数年前より沖島から数百メートル離れた西側から北側のサンゴ群であるコーラルガーデンやミナベダシ(いずれもダイビングポイント名称)に、オニヒトデをみかける回数と数は急に増化(1ダイブで数匹見ることもあった)したとのことである。

 
 表2−6(1) 沖島海域 オニヒトデの生息数状況結果表

調査

海域

調査

年月

水深

-

判定結果

オニ実数に対し

調査範囲内生息数/ha

(箇所・個数)

調査範囲外生息数/ha

(箇所・個数)

食痕+オニ

オニ実数

食痕+オニ

オニ実数


田辺

沖島

H28

10


5



要警戒発生

867/h

51箇所)

17

(1個)



食痕跡10倍に増加

H28

2


要警戒発生

83/ha

(5箇所)

17

(1個)


田辺

沖島

西

H28

10


6



自然発生


800

(48)

(0)

150

(6)



食痕跡8倍に増加

H28

2


要警戒発生

100

(6)

17

(1)


合計

H28

10




自然発生

833

(99)

(1)



食痕跡増加顕著

H28

2


要警戒発生

91

(11)

17

(2)

75

(3)



(3)サンゴ群集の状況
 沖島のサンゴ群集は健康な状態が維持されており、病気などの白化も確認できないが、イソギンチャクの白化は点在した。 本年の台風は8月中旬まで本海域に接近せず、海水温が上昇したためと考えられる。 
 
表2−6(3) 沖島海域 サンゴ群集の状況結果表

調査

海域

調査

年月

水深

-

判定結果

<適宜表現>

サンゴ死骸(%)

上段:生・死割合

(下段:全体割合)

生サンゴ(%)

上段:生・死割合

(下段:全体割合)


田辺

沖島

H28

10



5


減少

<僅かに減>


(4)




94

(66)

H28

2

減少

<僅かに減>

(6)

92

(71)


田辺

沖島

西

H28

10



6


横ばい


(1)



99

(82)

H28

2

減少

(4)

95

(69)



合計

H28

10



横ばい

(3)



97

(74)

H28

2

減少

<僅かに減>

(5)

94

(70)



 
 










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